京焼・清水焼の発展
京焼・清水焼の未来
京焼・清水焼と言えば、お茶具や、鑑賞のためなど、日常ではあまり馴染みのないという印象を持っている方も多いと思います。そのイメージ通り、京焼は貴族の茶文化とともに発展してきたため、過去の作品には高級品、お茶具がとても多いです。例えば、色絵牡丹文水指 (いろえぼたんもんみずさし)(重要文化財),色絵藤花文茶壺 (ふじはなもんちゃつぼ)(国宝)のような作品が代表的です。
しかし、最近は動物の形をした物や、サンタさんが描かれているカップなども見ることができます。また、可愛いイヤリングやピアス、ネックレスなどの装飾品も作られています。
もちろん、伝統を引き継いだ作品も相変わらず焼かれています。伝統を守りつつ、新しいスタイルや形を開発していっているのです。
時代に合わせて変化し続けている京焼・清水焼、これからはどのように変わっていくのでしょう?
登り窯から電気窯へ
煙がもくもく出る窯を使って陶磁器を焼く職人さん、焼き物と言えば想像する姿です。
しかし、現在は京焼・清水焼は煙が出る窯ではもう焼かれていません。薪を燃料とする登り窯は京焼・清水焼を生産する上で近代まで主に使われました。登り窯は1回でより多くの陶磁器を焼き上げるために開発されたものです。しかし、登り窯は煙が多く発生し、住民に被害を与えました。
また、京都の観光地化、都市化に伴い、煙害を起こす登り窯は禁止されてしまいました。そこで、ガス窯と電気窯が開発・導入されました。いわゆる技術革新です。
電気窯の導入による効果は煙害を減らすことだけではありませんでした。電気窯の導入により、京焼・清水焼を焼くためのコストをダウンし、若者や初心者が京焼・清水焼に目を向けるハードルを下げることができるようになったのです。
現在の電気窯が最終形態ではないと思います。これからも発展していく技術の中、京焼・清水焼がどう進化していくかを楽しみにしてください。
参考文献 岡部周平(2016)「伝統産業の課題と新たな方向性ー京焼・清水焼の事例ー」映像情報メディア学会技術報告、ITE Technical Report Vol.40、No.42